熊本県阿蘇郡南阿蘇村白川西柳にある阿蘇大御神足跡石。

南阿蘇を走る国道325号沿いに鳥居がありますが何時も気付かず通り過ぎてしまいます…鳥居を降った所に阿蘇神社の御祭神・健磐龍命(たけいわたつのみこと)の足跡がついたとされる巨石があります。(「白川水源」、「一心行の桜」界隈)
石の周りは綺麗に整備され駐車場もあり小さな公園になっています。
阿蘇大御神御足跡女神石 由緒(略) 由緒石碑より

この巨石は健磐龍命の足跡が遺る肥後国史にも登場する石である。
阿蘇神社の御主神である健磐龍命(神武天皇の孫)は、一代神武天皇の勅命に従って九州鎮護の大任に当たられた。
後に命は紀元七十六年春二月阿蘇に下られ、草部吉見神の娘阿蘇都比咩命を娶り、矢を放ち居を定められ、四方統治の大計を樹て阿蘇の国土開発の大業を始められた。
当時、大湖水であった阿蘇火口湖を立野火口瀬より疎通し、阿蘇谷の内に美田を開拓せられ、住民に農耕の道を教えられた。
また歳ノ神を祭り、更に霜神を祭り、風神を鎮め給う等、国利民福の為に尽くされた。
業成っては阿蘇山麓に大巻狩を行い鳥獣の害を除き祀典の範を定め庶民のために其の憂苦を除き給いて、吾が大阿蘇開発の先駆者として不滅の功績を遺された。
是に土地開け住民この地に安住して今に至るまでその恩沢を享け皆夫々生業を営めるは命の偉大なる御事蹟に外ならず、洵に命の大業は吾が日本建国史に不滅の光彩を放つものと云うべきであり、現今国土開拓の神、農耕道の祖神として汎く世人の崇敬をうけ、十一世紀以降肥後一の宮と仰がれ、肥後の国熊本の総鎮守神として尊崇をうけております。
国土の開拓とは、ただ産業の振興のみならず、吾々人間生活に関わりある交通・文化・学芸・結婚・医薬・厄除等の生活守護の神として、限りない御神徳をいただいています。
令和五年(2023)四月吉日建立


江戸時代に編纂された肥後国誌には「白川乾藪堂(かんじきどう)というところに阿蘇大御神の御足跡石がある。」と記されておリ、古くから当地にあると言い伝えられた神様の足跡を平成11年(1999年)にあった春の花見会で「その巨石と足跡を探そう」と地元の方々で盛り上がり当柳地区の住民にて掘削したところ記録や言い伝えどおりの姿を現しました。
その記録には「四五尺計ノ石二両足揃テ深サ六七歩アリ、雨天の節、水溜ル事ナシ不浄ノ人近ク寄レバ崇アルト云」と記されていて霊験あらたかな石です。
この足跡石は阿蘇神社の守護神、健盤龍命が南阿蘇の平定と開発を願いこの巨石に立って祈られたものと推測されます。南阿蘇は地理的には外輪山からの流水と白川水源をはじめ多くの湧水が一級河川「白川」に注ぎ農業と地域開発に貢献しています。




白川水源は水神が祀られる「白川吉見神社」の境内にあり湧水は不老長寿、諸病退散のご神水として長く尊ばれてきた歴史を持ちます。環境省の「平成の名水百選」にも選ばれており自由に汲むことも可能。ミネラル豊富でまろやかな口当たりの水は、ぜひ一度口にしてほしい美味しさです。


御祭神:国龍大明神、罔象女命
祭礼日:7月22日
境内社:天満宮・子安観世音・馬頭観世音他
御由緒:当神社は阿蘇神社の末社として、古代より水源の守護神として尊崇され、境内の中央から涌水する大泉流は、これより西方南郷谷及び菊池南部熊本飽託の肥後平野を潅流して幾千ヘクタールの水田を養い湧水池は肥後名勝の一つに数えられた。
元禄(1688~1703)14年6月第5代肥後藩主・細川綱利公が山狩の際参拝され 「当社は余が領地養田の源神で水恩広大である。速やかに社殿を修造せよ。」と郡代に命じ造営されたと言う。
この湧水は不老長寿・諸病退散の御清水として、昔から語り継がれ尊ばれている。
嘉永年間(1848~1853)細川韶邦公(後に初代熊本藩知事)又明治初年第14代護久公護美公が参拝され九曜紋章付きの社幕を奉納されたと云う。
現在の社殿は明治41年火災により炎上したため翌42年12月新たに造営竣工されたものである。又当神社内の社木も昭和21年の台風により樹齢数千年の老木数本が倒れ現在数となる。
明治初期熊本県が「白川県」と呼ばれたのも又地名の「白川」村名「白水村」もこの境内の湧泉より名付けられたと言われています。
御選和歌集天暦9年(955)に次の一首あり
年ふれば
わが黒髪も白川の
水はくむまで老いにけるかな
桧垣媼
この湧水は「不老長寿」「所病退散」の御神水として昔より語りつがれ尊ばれています。



そういえば、日本三大下り宮の一つである「草加部吉見神社」(草部吉見神(くさかべよしみがみ)([彦八井命・国龍神]と健磐龍命(たけいわたつのみこと)の父、神八井耳命(かむやいみみのみこと)は兄弟で吉見神は兄にあたります。))にはなかなか行く機会がないな…


一心行の桜は、熊本県南阿蘇村にある樹齢400年のヤマザクラ。2025年の桜の開花時期は木の治療のた公園への立ち入りが制限され、見学・入場はできませんでした。来年は観れるかな?
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