おはぎのことを「半殺し」と呼ぶ地域があります。
熊本県辺りだけではなく、徳島県や群馬県などでも呼ばれているようです。
落語の題目にもなっているので、全国的に知られた呼び方なのかな?
「半殺し」はつぶあん、「全殺し」はこしあん。
一般的には秋が「つぶあん」、春が「こしあん」、と言われています。
秋に食べる「おはぎ」は、とれたての小豆を使っているので、粒のままでも皮も柔らかく、美味しく食べられるので「つぶあん」。
冬を越して春になると、小豆も時間が経って固くなるため、こしてからあんを作ります。 そのため、春に食べる「ぼたもち」には「こしあん」を使うことが多いです。
また、おはぎのもち米の状態を表している地域もあるようで、おはぎは「もち米」と「うるち米」を蒸して、つぶしながら丸めたものに、あんこをまぶして作ります。
このもち米を、なめらかなお餅になるまでつかずに、もち米のつぶつぶが残る程度につぶした状態を「半殺し」と呼び、もち米のつぶつぶが残らないなめらかなお餅の状態までついたものを「全殺し」と呼びます。
地域によってずいぶん違いますね(^^)
最近YouTubeで見つけたのですが、
当時、「まんが日本昔ばなし」の物語として紹介されていたんですね。
むかし、熊本県の菊池に「地獄」と呼ばれる所がありました…
たまたま近くを通りかかった行商の男が、宿をもとめて一軒の民宿に立ち寄りました。
民宿の夫婦は男を快く迎え入れ、窓もなく三方が壁の薄暗い部屋に通してくれました。
しばらくして、旅の疲れからぐっすり寝込んでいた男の耳に、隣の部屋から夫婦の話し声が聞こえてきました。
「今晩は手打ちにしようか、半殺しにしようか…」と、相談している声でした。
男は「きっとここは強盗の家だったんだ」と思い、スキをみて逃げ出そうとしましたが壁に囲まれた部屋からは逃げられませんでした。男は恐怖で身震いしながら、夕食に出されたぼた餅の味も分からないまま平らげて、夫婦の機嫌を損ねないように振舞いました。
しかし、夜になっても部屋の前には夫婦がいたため、なかなか逃げるチャンスがありませんでした。
しばらくすると、亭主が「お前は地獄で待っていろ、俺が首をひねるから」と嫁に言っている声が聞こえてきて、男はあまりの恐ろしさに、民宿から一目散に逃げ出しました。
男は町の奉行所にかけ込み、これまでの事を話しました。それを聞いた役人は、笑いながら「手打ちとは手打ちうどんの事で、半殺しというのはぼた餅の事だよ。それに地獄というのは湧水があった洗い場の事で、首をひねるというのはミノの襟をワラで縒る(よる)という事だよ」と説明してくれました。
男は夫婦の元に戻り、自分の勘違いを詫びました。それからの男は、まずその土地の言葉をよく理解してから話すようにしたそうです。
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