薄紫にゆらぐ藤の花

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藤は4月下旬から5月上旬に長い穂のような花序を垂れ下げて咲く、観賞価値の高いつる性の花木です。日本古来の花木と言われ、万葉集にも歌われています。

今回は、福岡県柳川市の中山熊野神社の境内にある「中山の大藤」と、熊本県玉名市の山田日吉神社の境内にある「山田の藤」を鑑賞してきました。

「中山の大藤」

福岡県柳川市の中山熊野神社の境内にある「中山の大藤」(昭和52年4月 福岡県の天然記念物に指定)の発祥は、江戸時代の享保年間(1716~1735)に遡ると伝えられています。

伝承によれば、当地で酒屋を営む通称「万」さんという人が、上方見物をし、野田の藤のあまりの見事さに心を奪われ、藤の実を持ち帰り、自宅に植えたと伝えられています。 

数十年後、四尺程度(約120cm)の見事な花を咲かせられるようになり多くの見物客で賑わったと伝えられています。その後、現在の熊野神社境内に移植され、地元保存会の方が念入りに手入れをされています。

大坂、野田の藤は新5千円札の花としても選ばれています。

「山田の藤」

熊本県玉名市の玉名温泉街から少し北西に足を延ばした山田集落の北端に佇む山田日吉神社。境内には、推定で200年ほどの樹齢を数える通称「山田の藤」があります。

藤の規模は東西12メートル、南北10メートルにも及び、ひとつひとつの花房の長さは1メートル以上。毎年4月中旬ごろから下旬ごろまで咲き誇り、見物客の目を楽しませてくれます。

もともとは19世紀初頭の文化年間に、地元の赤松久右衛門という人物が植栽をした藤が、このような見事な大藤に育ったのだとか。一時は花の勢いが衰えた時期もあったそうですが、地元の方々の手入れにより現在は歴史のある神社の威容を取り戻しています。

例年、開花の時期に合わせて藤のライトアップも行われます。藤棚から漏れる陽光が美しい昼の藤も、闇の中に浮かび上がる幻想的な夜の藤も、どちらも見応えたっぷりです。

藤の芳しい香りに包まれてきました。

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